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    エルピスの花が輝いた「FFXIV」オーケストラコンサート2022をレポート――新生から暁月の旅路が音楽で蘇る | Gamer

    約1年前、星と命を巡る物語「ハイデリン・ゾディアーク編」がついに完結を迎えたMMORPG「ファイナルファンタジーXIV(以下、FFXIV)」。3年ぶりとなる本公演では、その最新拡張ディスク「暁月のフィナーレ」までの楽曲を含めているため、ストーリーのネタバレとなる要素も多くなっている点をご注意いただきたい。またプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏、サウンドディレクターの祖堅正慶からのコメントもいただけたので、こちらもチェックしてほしい。

    新生/蒼天/紅蓮の冒険を振り返る第一部

    第一部は「新生/蒼天/紅蓮編」と題して「新生エオルゼア」「蒼天のイシュガルド」「紅蓮のリベレーター」の楽曲を届けていく。2019年に開催されたコンサートで二部に分かれていた3編がぎゅっと凝縮されているようなイメージだったが、これまでのコンサートに参加していたファンはセットリストの1曲目に「天より降りし力」が置かれたことに少し驚いたかもしれない。

    もちろん「天より降りし力」といえば、新生以降のFFXIVを象徴する1曲だ。ファイナルファンタジー(以下、FF)シリーズのオーケストラコンサート「Distant Worlds: music from FINAL FANTASY」でもたびたび演奏されていて、FFXIVプレイヤー以外のFFファンにとっても馴染み深い一曲だろう。

    しかし、これまでのコンサートといえばファンフェスティバルやプロデューサーレターライブなどでもよく耳にするウルダハの「希望の都」で幕を開けていた。この始まりに相応しい曲を2曲目とし、1曲目を「天より降りし力」にしたのは、どういった理由だったのか。個人的な想像だが演奏の迫力と、その映像にひとつの答えを感じた。

    スクリーンに映し出されたのは新生といった枠を飛び越えた、冒険者がこれまで歩んできた旅路だ。とはいえ、どちらかといえば仲間たちと歩んだ軌跡というより、冒険者の前に立ちふさがった存在へフォーカスされていたように思う。こうした多くの戦いを乗り越え、今日この場に集った光の戦士たちを音楽という名の最大火力で迎え撃とう。さまざまな制約がある中でも、それを押し返すだけの熱量を持っているはずだ――そんな強い期待や信頼が詰まっているように感じた「天より降りし力」だった。

    2曲を終えたところで、吉田直樹氏がステージへ。出迎えの言葉に加え、取締役 兼 執行役員 兼 第三開発事業本部長 兼 プロデューサー 兼 ディレクター 兼 本日の司会進行と、自身の長い肩書をしっかり告げてファンの笑いを誘う。そして3年ぶり、3回目となるオーケストラコンサート開催へプレイヤーに礼を述べるとともに、参加者の緊張をほぐすための質問を投げかけていく吉田氏。オーケストラコンサートが初めてというファンには「うっすら若葉マークが見えるはずです!」、普段タンクで遊ぶプレイヤーには「先導役として誰よりも早く拍手を!」、DPSで遊ぶプレイヤーには「最大出力の拍手をし続けるのがお仕事!」、ヒーラーで遊ぶプレイヤーには「感極まって泣いてしまった人へ優しく寄り添って。一緒に泣いてしまった場合はLBで蘇生して!」とコメントし、9年分の想いが詰まったコンサートを気兼ねなく自由に楽しんでほしいと綴った。

    3曲目は、グリダニア・黒衣森で流れる「静穏の森」。しっとりとしたピアノが印象的な曲で、広大な森がもたらす恩恵だけではなく、精霊という存在への畏怖のようなものも交じり合う。ちなみに今回ピアノを担当していた森下唯氏(ピアニート公爵)は、SQUARE ENIX MUSIC Channelで行われているFFシリーズ35周年を記念したピアノアレンジ演奏で、FFXIVでもよく聞く「悠久の風(FFIII)」や「ビッグブリッヂの死闘(FFV)」などを披露し、FFXIV内でコラボイベントも行われたFF15のオフィシャルコンサート「Piano Collections FINAL FANTASY XV -夜に満ちる律べ-CONCERT」を担当するなど、何かとFFシリーズとも縁の深いピアニストだ。アレンジアルバムなどでお馴染みのKeiko氏と合わせて、ぜひ注目してほしい。

    4曲目の「究極幻想」は荘厳かつ重厚なコーラスでゆったりと立ち上がり、バトルの苛烈さと合わせるようにあらゆる音が押し寄せてくる。かつてはメインルーレットなどで参加しても早い段階で倒されてしまい、じっくりサウンドを聞く時間はなかったが、パッチ6.1に実装された「幻アルテマウェポン」によりゲーム内でたっぷり聞くことができたのは記憶に新しい。メインクエストも6.1で行われた改修に伴い、4人で挑む歯ごたえのあるバトルとして楽しめるようになっているので、まだ挑んだことのない人はぜひ一度プレイしてみよう。

    ここで、祖堅正慶氏も吉田氏と共にステージへ。新型コロナウイルス感染症の影響もあり「漆黒のヴィランズ」のタイミングではオーケストラコンサートを行えなかったが、今回多くのプレイヤーが集ったことに「FFXIVというゲーム、そして光の戦士はすごい」と率直な感想を伝えていた。指揮の栗田博文氏、演奏の東京フィルハーモニー交響楽団、合唱のGLORY CHORUS TOKYOを紹介したあとは、蒼天編へと突入していく。

    ストリングスのハーモニーで始まった「Dragonsong」では、Amanda Achen氏の力強いボーカルが響き渡る。思い起こされたのは、かけがえのない仲間たちと苦楽を共にした足跡と、大切な存在を失った者たちの深い悲しみだ。彼らの命の尽きる瞬間が映し出されたこともあり、会場がすすり泣きに包まれたのは言うまでもない。当時はまだ知る由もなかったが、彼らが命を懸けて繋いでくれたのは、今も、そしてこれからも続いていく「未来」そのものだったのだろうと改めて思う。

    ハープの音色から、突き抜けるようなソプラノボイスがたたみ掛けたのは「Heavensward」。否応なくイシュガルドへと追い立てられた大きな不安から、新天地で待ち受ける冒険への期待を覗かせるように金管楽器やコーラスが折り重なっていく。蒼天編の締めくくりは重々しい男性コーラスと、激しいピアノが熾烈な戦いを想起させる「英傑~ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦~」だ。パッチ3.0の佳境というだけでなく「蒼天幻想 ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦」実装当時に味わった阿鼻叫喚、演出面でも注目を集めた「絶竜詩戦争」など、さまざまな記憶が去来したプレイヤーも多かったのでは。

    紅蓮編は、吉田氏が「皆大好き」と評した「鬨の声」から始まる。FFXIVのインスタンスダンジョンのボス戦は、まるでラストバトルのような迫力に満ちているものばかりだが、個人的に「鬨の声」を初めて聞いたときの感動は未だに忘れられずにいる。打楽器が打ち鳴らすリズムにコーラスが重なり、どんな戦いでも負ける気がしないような高揚感が心地よい。後半のストリングスとのハーモニーも凪いだ穏やかさと、嵐のような激しさを生み出していた。

    続いては、吉田氏が紅蓮編でもっとも好きな曲だとたびたび口にしている「塩と苦難の歌~ギラバニア湖畔地帯:昼~」。緩やかなメロディにタンバリンがアクセントになり、壮絶な争いに翻弄され続けた歴史と、それでも変わらない大地の雄大さを感じさせる。フライングマウントで空を駆けながらギラバニアを見下ろすと、エオルゼアの3国、イシュガルド、ドマの総力をかけた戦いも遙か遠い過去のような気がしてくるほどだ。

    第一部の締めくくりは、アルファ零式4層後半に流れる「空より現れし者~次元の狭間オメガ:アルファ編~」だ。ノーマルと同様の4層前半「心を持たぬ者 ~次元の狭間オメガ:アルファ編~」の疾走感はそのままに、追いかけるように加わった混声コーラスが眼前の敵の強大さを見せつけてくるようだ。神龍との激闘から本格的に始まった、オメガとの因縁。「暁月のフィナーレ」で訪れたウルティマ・トゥーレ、パッチ6.15で追加された後日談を経た今、オメガに対する感情も以前とは大きく変わってしまったが、個人的には「出会うことができてよかった」と思える強敵の1人だ。

    第二部は漆黒/暁月でひとつの冒険のフィナーレへ

    音楽で巡る冒険の旅路も後半へと突入し、ステージにJason Charles Miller氏が登場すると会場からは抑えきれないどよめきと盛大な拍手が。透き通るようなコーラスから始まった「Shadowbringers」は伸びやかな歌声を受けて跳ね上がり、「悠久の風」のメロディを取り入れながらダイナミックな変化を遂げていく。その勢いのまま「漆黒のヴィランズ」を終える戦い「To the Edge」へ。プレイ当時も後ろを振り返ることはできないと分かっているのに、どうしても前に進みたくないような気持ちもあったが、「暁月のフィナーレ」を迎えた今だからこそ、より一層胸にこみ上げてくるものがある。

    Jason氏は「2~3年かかってしまいましたが、ついにこの場に来られて嬉しいです」と喜びを語り、FFXIVのファミリーになれたこと、世界で一番のコミュニティの一員になれたことを誇りに思うとコメント。祖堅氏へ大きな感謝も伝えていたが「genius(=天才)」があえて訳されなかったことに吉田氏がツッコミを入れる場面も。Jason氏は2021年に無観客で行われたファンフェスティバルの際、ビザが降りなかったため来日は叶わなかったが「3カ月くらいかけて貨物船に乗り込んでいくから、何とか入れてくれないか!」と冗談めかしながらも本気で参加すべく手を尽くしてくれたようだ。ちなみにJason氏が着用していた革ジャンは、今日のためにオーダーメイドしたとのこと。

    「ここからの2曲は、皆さんの魂ごと持っていっていだたこうと思います」という吉田氏の言葉から続いた「砕けぬ想い~ハーデス討滅戦~」は、序盤からこの日一番の瞬間火力を感じたほど。勝つしかない、負けるわけにはいかない戦いなのに、つい迷ってしまいそうになる戦いの果て。それでも選んだ道を生きていくしかない――そんな複雑な気持ちに寄り添ってくれるのが「Tomorrow and Tomorrow」だ。日本語訳で語られる「堂々と立て、友よ」のフレーズをはじめ、穏やかでありながらも奮い立たせてくれるような1曲。昨日行われたリハーサルで思わず吉田氏も涙がこぼれてしまったとこっそり話していたが、この表現力を前にしては頷くしかない。

    歌い切ったAmanda氏はキュートな挨拶と共に「実際に光の戦士たちとお会いできて光栄に思いますし、祖堅さんの音楽を歌うことができて嬉しいです」とコメント。吉田氏は海外で初めてオーケストラコンサートを行った際のリハーサルで初めてAmanda氏と出会った頃を振り返り、歌声を聞いた後に祖堅氏が「あの人で曲を作りたいんだけど」と言いだしたと語る。Amanda氏は祖堅氏の連絡を受けて非常に驚きつつもワクワクしたことや、あまり名刺を受け取ることがないのでビックリしたと笑顔で話してくれた。

    ついに「暁月のフィナーレ」へとたどり着くが、吉田氏からセットリストにはなかった「迷宮 ~ラヴィリンソス:昼~」が紹介される。祖堅氏の出番のようだが不在のため、探しに向かう吉田氏の後ろから祖堅氏がそろりとステージへ。ファットキャットのビッグクッションが入っていたらしい大きなダンボールを抱え、それをステージへガムテープで固定していったのだが、なんとスタッフのみならず栗田氏も手を貸す事態に。

    立っている者は指揮者でも使うFFXIV開発陣の胆力に驚きつつ、祖堅氏は手にオタマトーン、片足に鈴、もう片足でダンボールをカホンのように鳴らしながらオーケストラの演奏に加わっていく。気の抜けたオタマトーンのサウンドが曲へ妙にマッチし、つい笑ってしまいながらも眼前にラヴィリンソスが見えてくるような、不思議な時間を過ごすこととなった。後にこの一連の流れをジェットコースターのようだと語られていたが、この後に「Your Answer~ハイデリン討滅戦~」が控えている中で「よくもやってくれた!」という気持ちでいっぱいになった。

    気を取り直す時間もろくにないまま、演奏は「Your Answer~ハイデリン討滅戦~」へ。旧FFXIVから新生への架け橋ともいえる「Answers」をアレンジし、冒険でたどり着いたひとつの答えとして提示される曲だ。暁の仲間たちと共に戦える討滅戦ということもあり、さまざまな意味で思い出深いバトルのひとつでもある。重厚なサウンドの合間に、どこからともなくハイデリンの声が聞こえてきそうな臨場感に満ちていた。

    ここで、いよいよエルピスの花を使う“ギミック”のターンへ。吉田氏の「失敗したらワイプ?!」というコメントに笑いもこぼれながら、曲の最中にライトを点灯するよう栗田氏から合図が出るという。栗田氏がゲーム音楽に造詣の深い指揮者であったことへ心の中で感謝を捧げながら、合図を受けた最前列から順に“ギミック処理”の練習をしていく。その光景は思わず「おおっ!」と言葉が出てしまうほど美しく、本番はどうなるのかと期待が膨らむ中で「Close in the Distance」が始まった。

    フィールドの曲でありながらボーカル入り、かつメインクエストの進行によって変化していくというこれまでにない試みで登場した「Close in the Distance」。Jason氏のどこまでも届きそうな歌声が、ミュージックビデオの映像と共に会場へ広がっていく。新生の大地に広がった蒼天、陽が沈みゆく紅蓮の空に漆黒の夜が訪れた後には朝が来る――ある人物の視点で語られる歌詞が導くのは、仲間たちの決意で切り拓かれた道の到達点。エルピスの花が咲いたあの場所のように、現実でも小さく、しかし確かな光がたちまち溢れ出す。

    現地で購入したファンはともかく、エルピスの花をこの会場に持ち運ぶのは、多かれ少なかれ苦労が伴ったはずだ。もしペンライトにしていたら、プレイヤーの点灯ではなく制御式であれば、もっと簡単に似たような光景を生み出すこともできただろう。しかし、この演出が完成するには“エルピスの花へ、冒険者自身が希望の光を灯すこと”が重要だったのではないか。ゲーム内で目の当たりにした瞬間を思い出しながら、そんなふうに感じられたひと時だった。

    冒険の終わりを優しく受け止め、背中を押してくれたのはAmanda氏の歌う「Flow」だ。希望を繋ぐ歌声そのものが、光のように心へ降り注いでくるような感覚に胸が熱くなる。そしてこの楽曲で思い浮かぶのは物語の終わりを迎えた感動だけではなく、それぞれのプレイヤーが歩んできた道のりであり、冒険譚そのもののように思う。

    吉田氏は「旧FFXIVから数えると約13年、新生から来年10周年を迎えるところまで僕たちを連れてきてくれてありがとうございます」と光の戦士たちへ心からの感謝を伝える。祖堅氏は厳しい状況下にあったが、プレイヤーがゲームを楽しんでくれたからこそこうしたコンサートが開けたのだとコメント。「これからもチーム一同で面白いゲームを作っていくので、またこうした機会でゲーム体験を共有できたらと思います」と話し、吉田氏と共にまずは10周年を無事に迎えることを目標に頑張っていくとのこと。

    第二部のラストを飾ったのは「天地万象を我が意のままに!」というボイスが聞こえてきそうな「ENDCALLER~ゾディアーク討滅戦~」。個人的には約1年前、いつか決着をつけることになると覚悟はしていたが想像以上に早いタイミングで討滅戦が解放されたことや、さらにサウンドがまるでラストバトルのような“全部盛り”で2度驚かされた記憶が強く残っている。あえて「Flow」のような涙が止まらなくなる楽曲ではなく、盛り上がるバトル曲で締めくくろうというのは祖堅氏の計らいだろうか。

    3年ぶりということを差し引いても鳴りやまない大きな拍手を受けて始まったアンコールは、3回目も変わらず「そして世界へ」。「ファイナルファンタジー」のメインテーマを扱ったこの曲は、いつでも我々を新たな世界への冒険へと導いてくれる。映像では友好部族、リターン・トゥ・イヴァリース、イシュガルド復興、ドマ町人地、希望の園エデンなどサブストーリークエストにフォーカスされていたのも印象的だ。メインクエストを終えても、まだまだこの世界には多くの心躍る冒険が待っている――そう示されたように感じられた。

    アンコール2曲目は、これを聞かずしてフィナーレできるはずもない「終焉の戦い」。アルテマウェポン、ナイツ・オブ・ラウンド、神龍、ハーデスといったパッチX.0で立ちふさがる強敵を思い起こさせるアレンジだ。ここまで数々の強敵を打倒しても、なお勝てない絶望そのものがオーケストラでさらに厚みを増して襲い来るが、それにたじろぐ光の戦士たちではない。こうして万雷の拍手の中、3度目のオーケストラ公演は大盛況の中で終了した。

    今回の公演を振り返って感じたのは、同じ楽曲であっても時間が経てば振り返る思い出も変わってくるという点だ。もちろん初めてコンテンツを体験した瞬間はひとしおだが、ストーリーを進めるうちに付随するキャラクターの印象が変化することもあれば、後々フレンド同士で挑んだり、コンテンツファインダーやパーティ募集での一期一会の瞬間に立ち会ったりした思い出が積み重なって変化することもある。もし今後、新生~暁月までのオーケストラコンサートが開催されたら、今日とはまた違う思い出と共に聞いているような気がしてならない。これもまた、FFXIVというオンラインゲームならではの体験のように思う。

    そして、早くも2023年4月26日にフルオーケストラアレンジ楽曲をBlu-ray Discで堪能できる「FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2022 -Eorzean Symphony-」の発売が決定した。残念ながら熾烈なチケット争いに敗れてしまったプレイヤーは、こちらを購入して楽しもう。

    主催者コメント

    ファイナルファンタジーXIV サウンドディレクター 祖堅正慶

    ――コンサート、全4公演終えての感想をお願いします。

    「新生エオルゼア」発売からの約9年間、意外と光の戦士たちの心に刺さる音楽を作れていたかもしれないな、という実感がわきました。こういう興行はいいですね。

    ゲームは海外ではわりとエンターテインメントとしての地位を確立しているけど、日本ではまだ「ゲームなんかやって…」というような風潮があると思います。でも、僕はゲームというエンターテインメントは素晴らしいと思っていて、自信があるし自慢でもある。コミュニティも凄いですし。今回のオーケストラコンサートではゲームというエンターテインメントの無限の可能性を見ることができたし、そのなかでもサウンドが表現できることの素晴らしさも改めて感じました。

    あと、自分で言っちゃいけないかもしれませんが、自分たちが作った「FFXIV」はいいゲームなんじゃないか、という気がしました(笑)。もちろん、いいゲームを作っているつもりでいつも奮闘しているわけですが、改めてこうしてお客さんと対面できて、同じ空間を共有して、音楽を共通キーワードとしてやりとりしたつもりです。それで、光の戦士たちが心を動かして、感動して、泣いている姿を見て、「FFXIVのサウンドを作ってきてよかったな」と改めて思いました。

    ――観客のリアクションは、どこからか見ていたのですか?

    公演が始まったら、最初に舞台袖からオーケストラ奏者や合唱、指揮の栗田さんたちをステージに送り出すのですが、その後にはダッシュでPAブースに行って音をチェックしていました。今回の会場は4階層あったので、演奏が始まったらそれぞれの階でチェックして、どこをどう調整したいかを逐次、PAさんにフィードバックする。そのときにお客さんの顔が見えるんですよね。そのお客さんの顔が、早くも2曲目から…… 1曲目はお客さんを見る余裕もないですが、2曲目から感極まって泣いている方がいらっしゃるのを見ると、心を動かせたのかな、という気持ちになりました。

    仕事として頑張るのは当たり前ですが、「ゲームサウンドを介して人の心を動かせた」という結果に、今度はこちらが感動する。そういった2日間でした。得るものがあったのでこれをまたゲームサウンドに活かしていこうと思います。そしたらまたさらにいいゲームになるんじゃないかなと思いつつ、精進するしかないですね(笑)。これからも、いいゲームサウンドを届けられるよう頑張ります!

    ファイナルファンタジーXIV プロデューサー兼ディレクター 吉田直樹

    ――公演を終えての感想を教えてください。

    まずは「ほっとした」というのが大きいです。今回は曲数をかなり詰め込ませてもらったのですが、時間には限りがあるのでMCの時間を延ばせないと厳密に言われていました。一方で、オーケストラコンサートが初めてで緊張している方も多くいらっしゃるので、そこを「いつものFFXIV、いつものエオルゼアだよ。リラックスして聴いて、思い思い楽しめばいいんだよ」というところに繋げられるようにしたい。僕は司会業が本業ではないし、そこが難しいところで……終わった直後の感想はというと「ほっとしました」という一言です。

    ――久々の有観客でのオーケストラコンサートでしたが、いかがでしたか?

    各公演の開演前にちょっと舞台袖から顔を出して、来場者の皆さんとアイコンタクトしたり手を振ったりして、変な話、お互いが実在するというのを確認しながらオケコンに臨めたというのはすごくよかったと思います。多くのスタッフもコンサートを聴きながら自分たちがやってきたことの足跡や歩みみたいなものを、「新生エオルゼア」から改めて振り返ることができたと思います。そこは僕も含めて開発・運営チームにとって物凄くよかったですし、これほど多くの光の戦士を見られたことは明日からの活力になったと思います。

    セットリスト

    <第一部>
    1. 天より降りし力
    2. 希望の都
    3. 静穏の森
    4. 究極幻想
    5. Dragonsong
    6. Heavensward
    7. 英傑 ~ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦~
    8. 鬨の声
    9. 塩と苦難の歌 ~ギラバニア湖畔地帯:昼~
    10. 空より現れし者 ~次元の狭間オメガ:アルファ編~
    <第二部>
    11. Shadowbringers
    12. To the Edge
    13. 砕けぬ想い ~ハーデス討滅戦~
    14. Tomorrow and Tomorrow
    15. 迷宮 ~ラヴィリンソス:昼~
    16. Your Answer ~ハイデリン討滅戦~
    17. Close in the Distance
    18. Flow
    19. ENDCALLER ~ゾディアーク討滅戦~
    <アンコール>
    20. そして世界へ
    21. 終焉の戦い

    公演概要

    ・イベント名:FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2022 -Eorzean Symphony-
    ・日時: 2022年12月17日(土)、2022年12月18日(日)計4公演
    ・動員数:2万5千人
    ・会場:東京ガーデンシアター
    ・指揮:栗田 博文
    ・演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
    ・公式サイト:https://www.finalfantasyxiv.com/eorzean_symphony2022/

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